世界のサステナブルシーフード界から選りすぐりの記事をレビューしてお届けしている、“Seafood Legacy Pick-Up Blog”。第2回目はアメリカ西海岸にてサステナブルシーフードのサプライヤー兼販売を行ってる「Salty Girl Seafood」のブログ記事をご紹介。
Salty Girl Seafoodはその名の通り、女性だけのお魚屋さん!大学院の同級生が在学時代に設立した、まさにサステナブルベンチャー企業です。Seafood Watchなどを参考にし、独自の持続可能性6点評価(マネージメント、認証の有無、環境への影響、混獲、労働環境、種のモニタリング)を設け、現在はネット販売、そしてカリフォルニアの北部のホールフーズマーケットに商品を提供しています。彼女達の商品の強みはトレーサビリティーの見える化です。パッケージに記載された追跡番号をSalty Girl Seafoodのウェブページで検索すると、漁師さんの顔写真と簡単な自己紹介、漁船情報、漁獲方法、水揚げ場所、魚を漁獲したエリアの情報が確認できます。
そんなSalty Girl Seafoodより、「そもそもトレサビリティーって何?なぜ重要なの?」と言った疑問に答えるブログ記事、“Traceability: Why knowing your seafood’s story matters”をご紹介!
一匹の魚が船から食卓までたどり着くまでのストーリーは様々です。地産地消で新鮮なまま食卓に登る魚もいれば、冷凍され海を越える魚もいます。サステナブルシーフードで重要視されるトレーサビリティーとはこのような網目のように広がる魚の「旅程」を正しく知ることを意味します。では、このトレーサビリティー、私達消費者にはどのような利点があるのでしょうか?
魚が漁獲されてから食卓まで繋がるサプライチェーンの長さや複雑さ、そしてその過程でどのように加工されたかはその魚の品質に大きく影響します。鮮魚に関しては「いつ、どこで」漁獲されたのかも重要な情報ですし、魚の辿るサプライチェーンが短く経由地点が少ないほど鮮度が保たれます。冷凍の魚に関しては「どこで」漁獲されたのか、また「どのように」加工されたのかが重要なポイントになります。船上で下処理を行いすぐに冷凍されたのか、もしくは二度冷凍されたのか、など鮮度の決めては様々です。また鮮度だけでなく、魚の栄養価も加工や冷凍方法により異なってきます。漁獲から冷凍までの時間が短いほど鮮度と栄養価は保たれます。
ラベルの偽装は水産業において深刻な問題です。アメリカでは約20%〜50%の魚がミスラベル(誤表示)されていると言われています。トレーサビリティーの確立された魚であれば漁獲の時点から加工場所や行程を明確に追跡することができ、品質の保証につながります。消費者へ提供する魚が持続可能な漁業由来であることを証明するためにもトレーサビリティーは必須条件とも言えるでしょう。トレーサビリティーにより商品の品質を担保することは消費者の食に対する安心感と信頼に繋がります。
消費者が魚に対して持つ不安は加工方法、環境汚染による影響、そして添加物と言われています。下記のように消費者に情報を開示することで、このような不安要素は大幅に軽減されます。
自分の口にする魚がどこで誰の手によってどのように獲られたのか、知ってみたいと思いませんか?知ることは個人の消費に対する責任感や安心感にも繋がります。
トレーサビリティーは一匹の魚の道筋を辿るストーリーです。その過程を知ることは品質や健康へのリスク、そしてその魚種について深く知ることに繋がります。また魚にはられたラベルの信用性を担保するものであり、船からテーブル、漁師と消費者をつなぐストーリーでもあるのです。
Q1. トレーサビリティーの確立された魚とそうでない魚、違いは「どこで獲られた」かが明確なだけ?
Q2. トレーサビリティーのある魚の方が安全?
Q3. サステナブルシーフードは常に追跡可能?ということは、追跡可能な魚はサステナブル?
いかがでしたか?海から食卓まで魚がたどるルートは様々です。トレーサビリティーは魚の品質を担保するだけでなく、消費者に安心感を与える重要なツールでもあるのです。
Special thanks to Salty Girl Seafood!