調達方針
調達方針とは、企業の購買活動(調達)において基本とする考え方や目指す方向のことです。
調達は、水産業界だけでなく、製造業界や小売業界など、モノの製造販売を行う企業全てにおいて必要とされる業務であり、調達方針はその基盤となります。
企業はSDGsの達成はもちろん、環境破壊や人権侵害を低減しなければなりませんが、調達方針は、企業にとっては統一された判断基準として、外部組織にとっては客観的な評価基準として機能します。調達方針を策定することで、企業は以下のようなメリットを得ることができます。
・環境破壊や人権侵害等に加担するリスクの低減
・調達方針を策定・公表・実行することを評価するマーケットでの販路拡大
・上記2つによる事業安定性
サステナブル・シーフードについては、サプライチェーンの川中〜川下の企業や、飲食、ホスピタリティ業界などでも策定されています(2022年2月時点)。
例:イオン
「持続可能な調達方針・2020年目標」
・イオン(株)連結対象の総合スーパー、スーパーマーケット企業で、MSC、ASCの流通・加工認証(CoC)の100%取得をめざす
・主要な全魚種で、持続可能な裏付けのあるプライベートブランドを提供する
例:日本生活協同組合連合会
「コープ商品の2030年目標」
・水産物を主原料とする仕様指定商品および生鮮水産物について、MSC/ASC認証商品の拡大を重点に、GSSIが認定した認証スキームによる認証品の供給額構成比を50%以上とします。
例:ヒルトン
・絶滅危惧種の調達の排除
・2022年末までに水産物調達量の25%以上を、MSCまたはASC認証を取得した供給元からの調達を行う
・その他の水産物(75%)に関しては、WWFグリーンリストまたは認証取得や改善プロジェクト(FIP/AIP)に取り組む供給元から調達を促進する
調達方針を策定する上では、達成したい目標の内容、期限を決め、進捗を公表・確認することが大切です。企業のサステナブル・シーフード調達を支援する北米のNGO、FishChoiceは調達方針策定のためのテンプレートも公開しています。