サステナブル・シーフード用語集

MEL認証

MEL認証は日本発の水産エコラベル認証です。2007年12月に認証スキームが発足した当初は、大日本水産会内の事業として運営していましたが、国内外の水産エコラベルへの関心に応える形で、2016年12月に一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会(MEL協議会)が設立され、スキームオーナーとしてこの仕組みを管理・運営しています。生産段階で水産資源の持続性と環境に配慮している漁業・養殖業を認証し、流通段階ではその水産物を使用して流通・加工する事業者を認証します。MEL認証取得事業者数は207件、内訳は漁業認証 22件、養殖認証60件、流通・加工段階認証(CoC)125件です(2023年1月27日時点)。

MEL認証を取得した水産物に以下に示すMELの水産エコラベルをつけることができます。

MEL協議会は、「日本の多様な自然、魚種、漁法、加工や流通、多彩な魚食文化を守るとともに、これを強味として日本と世界の人々の健康で豊かな生活のためにお役立ちする」と定め、日本の水産業と国益を守るための日本発の水産エコラベルとして、世界が認める水産エコラベルをつくりあげるために国際標準化に取り組んできました。FAO「責任ある漁業のための行動規範」と「水産エコラベルのためのガイドライン」、GSSIのグローバル・ベンチマーク・ツールに沿って、認証規格や規程類が刷新されたMEL認証(漁業規格Ver 2.0、養殖規格Ver1.0)は、国際基準に適合していると、2019年12月、GSSIに承認されました。

さらに、2020年12月にはGSSIの承認継続審査(MOCA– Monitoring of Continued Alignment)が開始されました。専門審査員による監査、ベンチマーク委員会のレビュー、30日間のパブリックコンサルテーションを含むプロセスの中で、国際的な視点からいくつかの課題を指摘されましたが、関係者の協力の下、真摯に改良し続けていることが高く評価され、2021年11月22日、GSSIはMEL認証のMOCAが完了したと公表しました。

 

生産段階における漁業認証では、以下の3つの要件からなる構成となっています

1. 確立された管理体制のもとで漁業が行われていることに関する要件
2. 対象資源が持続的に利用される水準を維持していることに関する要件
3. 生態系の保全に適切な措置がとられていることに関する要件

 

MELの漁業認証の特徴は、高い生物多様性と多種多様な水生生物の存在やそれらを利用する小規模な事業者の割合が高いことを踏まえて評価すること、歴史的伝統的に行われてきた地域共同体による山林や農地、河川まで含めた統合的な資源管理体制という日本の水産業の特長を踏まえつつ、科学的根拠に基づき評価すること、そして、資源管理に関する法制度や行政による計画、そして各地域における自主的な取組の互いの有効性を評価することです。

 

生産段階における養殖認証は、以下の4つの要件からなる構成となっています。

1. 養殖生産活動において社会的責任を着実に果たすこと
2. 対象水産生物の健康と福祉に配慮すること
3. 食品安全が確保されること
4. 環境保全への配慮がなされていること

 

MELの養殖認証の特徴は、アニマルウェルフェアの考え方をしっかり取り入れていること、また餌料養殖については、その原料や調達経路(トレーサビリティー)、そして投薬や食品安全の観点からも管理が求められていることです。

また、認証が公平かつ客観的に行われるために、スキームオーナーとは別の独立した「認証機関」が認証を行います。

MEL認証を取得した生産段階から生産された水産物(認証水産物)を流通させ、持続可能で環境に配慮されたものであることを消費者に認知してもらうため、消費者に届けられるまでの過程において、MEL非認証の水産物と混ざることがないことが証明されるよう、MELの流通加工段階(CoC)認証が必要です。日本生活協同組合連合会や株式会社イトーヨーカ堂などの大手量販店はMELのCoC認証を取得しており、MEL認証のエコラベルがついた商品が店頭で販売されています。

 

<引用文献>
マリン・エコラベル・ジャパン協議会公式サイト
https://www.melj.jp/
https://www.melj.jp/2635
Marine Eco-Label Japan (MEL) V2 certification
https://www.ourgssi.org/gssi-recognized-certifcation/mel-japan

 

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