Global Fishing Watch
Global Fishing Watchとは、機械学習や衛星技術など最新のテクノロジーを用いてIUU漁業の撲滅や適切な水産資源管理に有効なマップや解析ツールを開発している組織です。2015年に国際的な海洋保全団体であるOceana、衛星画像とデータを活用して環境保全に取り組んでいるSkyTruth社、Google社の三社が共同して創設した団体*1で、2017年に国際NPOとして独立しました。
以下にご紹介するような、マップや分析ツールを開発し、ウェブサイト上で無料公開しています。
漁船活動の透明性を図るマップ(こちら)
このマップではいつ、どこで、どの国の漁船がどのように漁業を行っているかがわかるようになっています。
漁船の位置や動きは、AIS(船舶自動識別装置、 Automatic Identification System)や各国から提供された船舶監視システム(VMS、Vessel Monitoring System)のデータをもとに示しています。漁船のデータはあらかじめ漁船名、固有の船舶識別子などが登録されたリストから引用しています。また、活動の詳細を観察するために、衛星画像を活用しています。
Global Fishing Watch のマップ。活動期間や漁船の操業時間(画面中央、1,321 hours)などがわかる。緑色やオレンジ色は操業場所。
海洋保護区の管理のためのマップ(Marine Manager Portal)
このマップは、世界の海洋保護区の状態を、AISや、それから推定される漁獲努力量、漁船の活動、海の環境データなどを使って可視化したものです。海洋保護区の管理や海の空間計画に活用されています。
Marine Manager Portalより。ガラパゴス海洋保護区周辺の海水温(オレンジ色)や、漁船の操業状況がわかる(中央の47,488 huors)。緑色は操業場所。
洋上転載の管理・監視(Career Vessel Portal)
洋上転載は、違法に漁獲した水産物や、麻薬、武器の譲渡、人身売買などが起こりやすい場所とされています。そこで、転載船をトラッキングし、活動をチェックできるようにしたのがこのマップ です。出港場所や日時、他の転載船との接触時間などがわかります。 *閲覧には会員登録が必要
こうしたマップの開発以外にも、機械学習の専門家と科学者コミュニティとを連携し、新たなデータセットの作成や論文の執筆、作成したデータの使用促進なども行っています。
また、2020年には、北朝鮮海域で違法に操業している中国漁船の実態が暴かれました(当時の世界最大規模)。主な実績はこちらのページに掲載されています。なお、日本の国立研究開発法人である水産教育・研究機構も協力しています。