ブルー・エコノミー
ブルー・ エコノミー(Blue Economy)とは、一般的に「海洋経済」と訳され、海や沿岸環境を活用した経済活動を意味します。例としては、水産業、沿岸や海での観光、海運、洋上風力発電など海洋での経済活動があげられます。
世界銀行によると、例えば、海洋での漁業活動は2億7千万米ドル(約295億円)の経済効果があると試算されています。観光分野では、沿岸の後発発展途上国や島嶼国が年間4,100万人もの観光客を受け入れ、地域に雇用と経済的な利益をもたらしています。また、国際的な商品の8割以上は海上輸送によって運ばれており、その量は2050年までには2030年の倍になると予測されています(以下、インフォグラフィック参照)
出典:世界銀行ウェブサイトより
このように海は私たちに多大な経済的利益をもたらしています。WWFによると、海洋および沿岸からもたらされる財やサービスの経済的価値は、2.5兆米ドル(約273兆円)と世界第七位にも及ぶとされています※1。さらに、OECDは、海の経済的価値が2030年までに3兆米ドル(約327兆円)に、雇用者が4千万人なると予測しており、今後さらに拡大していく見込みです※2。
こうした経済的な価値は、海が健全な状態ではじめて生み出されるものです。しかし、海や沿岸の環境は年々悪化しています。
海は世界全体で排出されるCO2の30%(※3)、上昇した気温の熱量の9割を吸収(※4)するなど、気候変動の緩和に貢献する存在ですが、CO2が増大した結果、酸性化が進み、サンゴの白化現象などを引き起こしています。また、海面上昇や沿岸部の侵食も進んでいます。プラスチック問題も深刻です。年間800万トンものプラスチックが海に流出、2050年には重量ベースで魚よりもプラスチックの量が多くなる、という試算もあります※5。そして水産資源においては、3割以上は乱獲状態にあり、海洋生物種の生物多様性は1970年から2012年の間に36%減少しています※6。
海が健全でなければブルー・エコノミーの発展は決してあり得ません。つまり、ブルー・エコノミーの成長は、水産資源の保護も含め、海や沿岸の環境を守る、言い換えればSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の達成と不可分といえるでしょう。