絶滅危惧種
絶滅危惧種とは、絶滅のおそれが生じている野生生物のことを指します。
その原因には、開発による生息地の減少、密猟、乱獲、環境汚染などが挙げられます。また、近年は地球温暖化による生息環境の変化や消失、人間が持ち込んだ外来生物などによる影響も深刻になっています。
定義は国際的なものから地域的なものまで存在します。
国際的な定義
IUCN(国際自然保護連合)が1964年より創設した「IUCN絶滅危惧種レッドリスト」、これは絶滅危機リスクを調べた生物が掲載されています。レッドリストは生物多様性の重要な指標で、種に関する様々な情報を提供することによって保全および政策変更を促進する強力なツールです。種毎に、絶滅リスクに応じて以下のようにカテゴライズされています。
この中で特に絶滅の危機が高いとされる「深刻な危機(Critically Endangered)」、「危機(Endangered)」、「危急(Vulnerable)」の3つが絶滅危惧カテゴリーとされています。
現在までに、147,517種がIUCNレッドリストで評価されており、このうち約30%にあたる41,459種以上が絶滅危惧種です。(*1)
レッドリストに掲載された種の生息状況や絶滅危機要因などをまとめたレッドデータブックもつくられています。
日本での定義
日本では国内に生息又は生育する野生生物について、専門家らが検討しまとめた環境省版レッドリストがあります。これはIUCNレッドリストの評価基準に準拠しつつ独自の基準を設けるなどして種毎に絶滅の危険度を評価しています。
分類は以下のようになっており、このうち絶滅危惧I類およびII類に評価された種・亜種・変種が絶滅危惧種です。
レッドリストは5年ごとに全体的な見直しを行っており、2019年に公表された第5次レッドリストでは絶滅危惧種が合計3,716種となりました。(*2)
また、2017年には水産庁が魚類、サンゴ類、甲殻類、軟体動物(頭足類)、その他脊椎動物の5分類群について取りまとめた「環境省版海洋生物レッドリスト」を公表しました。このうち絶滅危惧種として掲載されたのはゼブラアナゴやクロヌタウナギ等の56種(*3)で、先のレッドリストと合計で日本の絶滅危惧種は3,772種となりました。
また特定の地域において絶滅の危機に瀕している種がある場合、自治体がレッドリストを作成して保全活動を行うなどしています。47都道府県がレッドリストを作成していますが、評価基準は必ずしも環境省レッドリストに準拠しているわけではなく、それぞれの状況に応じて独自基準のもと評価しています。
*1 https://www.iucn.org/press-release/202207/migratory-monarch-butterfly-now-endangered-iucn-red-list
*2 https://www.env.go.jp/press/107905.html
*3 https://www.env.go.jp/press/103813.html
<参考文献>
・https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3559.html
・http://iucn.jp/redlist/protection/redlist/iucnredlist5
・https://www.iucnredlist.org/ja/resources/categories-and-criteria
・https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/redlist/index.html
・https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/redlist/qa.html
・https://www.pref.tottori.lg.jp/95805.htm