日本はワースト19位 IUU漁業リスクを下げるには?

日本はワースト19位 IUU漁業リスクを下げるには?

天然漁業による漁獲量が減少している中、いま国際的に大きな問題として注目されているのがIUU(Illegal, Unreported, Unregulated、違法・無報告・無規制)漁業です。

国際法・国内法に背いている(違法)、操業に関する情報を適切に報告しない(無報告)、地域漁業管理機関等の規制を逃れて操業している(無規制)などの漁業行為のことで、世界全体の13-31%の漁獲量がこうした漁業によるものと言われています。日本にとっても他人事ではなく、日本の輸入水産物の24-36%もIUU漁業に由来しているという報告があります*1。

IUU漁業は、正規の漁業者に経済的損失をもたらすばかりか海洋資源の枯渇を加速させます。さらには労働者を搾取するなど、人権問題も指摘されており、世界的に対策強化が進められています。では世界の国々はそれぞれ、どのくらいIUU漁業に関わっているリスクがあり、そしてどの程度対策を取っているのでしょうか?

それをランキング形式で示したのが「IUU漁業指数」(The Illegal, Unreported andUnregulated Fishing Index)です。

IUU漁業指数、日本は152ヶ国中ワースト19位

IUU漁業指数は、漁業・養殖コンサルタント会社のPoseidon Aquatic Resource Management Ltd.、人権問題などに取り組む専門家のNGOネットワークGlobal Initiative Against Transnational Organized Crimeによって2019年に発表されました。

IUU漁業対策に関する指標40項目についてそれぞれ1-5点で評価(1点=良い、5点=悪い)し、さらにこの指標をIUU漁業に対する脆弱度(3タイプ)と各国の役割(「沿岸国」「旗国」「寄港国」「その他一般」)を組み合わせて分類しています。

IUU漁業に対する脆弱度
・脆弱度(Vulnerability):IUU漁業が起きている可能性があるか
・蔓延度(Prevalence):IUU漁業の疑いあり、あるいはIUU漁業として認識されている漁業が行われているか
・対応度(Response):IUU漁業を減らすための措置が講じられているか

この指標を世界の152ヶ国で評価したところ、上位1位はベルギー、2位はラトビア、3位はエストニア、日本は133位でした。点数では、世界の平均点は2.29だったのに対し、日本は2.63でした。(ランキング結果はこちら

国・地域別で見ると中国、台湾、カンボジア、ロシアの順に最下位で、IUU漁業対策をするための資金が不足している発展途上国や島嶼国、遠洋漁船を行っている国にリスクが高い傾向が見られました。海域では太平洋西部が最もリスクが高いことがわかりました。

レポートでは「脆弱度」はその国の水産関連の省庁や機関が行う措置ではなく、その国や地域で行われている漁業に対するリスクを評価したもの、としつつも、リスクが高い国々は責任ある説明、進捗確認、適切な是正措置を講じることを提案しています。

注:同点の国はアルファベット順に掲載。同点の国が表に掲載している数以上にある場合は「他xか国として表示。
The Illegal, Unreported and Unregulated Fishing Index (2019)p.3表を改変。和訳:(株)シーフードレガシー

 

IUU漁業問題の解決に舵を切る日本

日本の点数を見てみると、沿岸国、旗国、寄港国としての「脆弱度」が5.0、つまり、IUU漁業が起きている可能性が極めて高いと評価されているのがわかります。5.0と評価された指標の中には「輸入量」「漁獲量」「漁港の数」「外国漁船・輸送船の寄港回数」、中には「水産物によるタンパク質の依存度」という項目もあります。(結果の詳細はこちら

しかし、文化的に魚が多く食べられている日本において、魚の消費量を減らすことは根本的解決策とは言えません。では、魚の消費量を減らさずにIUU漁業のリスクを抑える方法があるのでしょうか?

その解決策として、IUU漁業に由来する水産物をサプライチェーンから排除し、正規な水産物だけが流通するマーケットを構築する取り組みが、欧米に続き世界第3の水産物輸入市場である日本でも、現在進められています。2020年末には「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」が日本で制定され、これに対し、東アジアのNGOや、日本に本社を構える国際水産企業の多くも名を連ねるSeaBOS*2など国際的なプラットフォームも、共同声明で期待の意を表明しており、世界からの日本への期待が高まっています。

民・官のイニシアチブが連動し、水産物を扱う全てのステークホルダーが協力しやすいシステムがつくられ、IUU漁業のリスクを減らしてゆく先にあるのは、日本の水産業の持続的な成長産業化の道です。もし同様の調査がまた行われた際は、国際課題の解決に貢献する国として、日本がランキングの上位に位置付けられることが期待されます。

*1 https://www.spf.org/opri/newsletter/299_1.html
*2 SeaBOSは、昨年12月IUU漁業由来水産物の排除へ向けた取り組みと、その進捗の公開を宣言しています。https://seabos.org/wp-content/uploads/2020/12/Press-release-for-201208_SeaBOS-leaders-commit-to-time-bound-goals.pdf

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