シンポジウム2016総括ブログー2 持続可能な漁業ビジネスという新しい考え方

シンポジウム2016総括ブログー2 持続可能な漁業ビジネスという新しい考え方

 

2016年11月11日にシーフードレガシーが日経エコロジーと共に開催したサステナブル・シーフード・マーケット・シンポジウム「魚から考える日本の挑戦2016 —東京五輪を機に作り上げる持続可能な調達と食の未来—」。総括ブログの第2弾では、午後一番で行われた、2セッションについてお伝えいたします。日本ではサステナブルシーフードの普及に対する取り組みが欧米諸国よりも、10年、15年遅れていると言われています。しかし、今回のセッションでは、勢いづく日本のサステナブルシーフード市場の様子がハイライトされました。

サステナブル調達で利益をあげる欧州の企業事例

午後最初のセッション、会場Aでは「サステナブル調達で利益をあげる欧州の企業事例」という議題のもと、現ヤンマー/元WWF水産担当でMSC認証の国内導入を実現した伊澤あらた氏のファシリテイトでスタート。パネリストとして、スイスBlueyouの取締役社長レネ・ベングレル氏、Eurogroup Far Eastの代表取締役社長ピーター・ハウザー氏、独Followfoodのマーケティングマネージャー ヨハネス・プラッグ氏が、欧州の事業成功事例を紹介してくださいました。残念ながら、シーフード・サステナビリティを追求する取り組みが主要欧米市場地域から10〜15年遅れている日本では、依然として「サステナビリティの追求=ビジネスの犠牲」という考えが根強い状態です。しかし、それが短絡的かつ非戦略的であり、逆にビジネスにはサステナビリティ追求が欠かせないことがハイライトされるセッションとなりました。

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Eurogroup Far East 代表取締役社長 ピーター・ハウザー氏

「スイスのCOOPはどこよりも早くサステナブル問題に取り組むことで、小売企業の中での差別化に成功、市場をリードする存在になっている。」

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Blueyou 取締役社長 レネ・ベングレル氏

「短期的にはコストがかかる、しかし長期的に見ると利益も収益も増え、小売企業にとっては安定した水産物の供給にも繋がる。」

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Followfood マーケティングマネージャー ヨハネス・プラッグ氏

「消費者、小売、政府、それぞれがきちんと問題を把握することが大切。」

日本でも発展するプレコンペティティブ・コラボレーション(非競争連系)

会場Bで同時間帯に並行して開催したもう一つのパネルディスカッション「成功ビジネスを生む漁業管理と改善」では、日本でも生産者、NGO、小売企業によるプレコンペティティブ・コラボレーション(非競争連系)が発展しつつある胸躍る状況が紹介されました。東京湾でスズキ漁を営む海光物産株式会社の代表取締役社長である大野和彦氏と、国際NGO Ocean Outcomes (O2)のジャパンプログラムディレクターである村上春二氏が、日本初となる漁業改善プロジェクト『東京湾スズキ漁FIP』の発足を発表し、ウォルマート傘下の合同会社西友の企業コミュニケーション部VPである和間久美枝氏がこれに支援を表明しました。

先代の想いを継ぎ、未来に資源を残す漁業の道を選んだ東京湾の大野さんの熱いプレゼンテーションで、会場の温度が一気に上昇しました。また、学習院大学教授/ドルベリー国際大学院モントレー校ブルーエコノミー研究センター客員研究員である阪口功氏には、サステナビリティ追求のための複数のグローバル・プログラムの比較分析を発表いただきました。ファシリテイトはシーフードレガシーの田村陽子が務めさせていただきました。

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海光物産株式会社 代表取締役社長 大野和彦氏

「2020年の東京オリンピックでは是非とも東京湾で取れた江戸前のスズキを提供したい。地元の漁業者魂に火がついた。」

マーケット・イニシアチブの成長を戦略の主軸に持つシーフードレガシーは、この度の西友のイニシアチブを以下2つの観点から高く評価しています。

①   これまで日本にサステナブル・シーフードが根付いてこなかった要因の一つとして、マーケットサイドからの需要が限定的だったことが挙げられます。サステナビリティを重要視する生産者による水産物の積極的調達を大手小売りである西友が開始したことで、このムーブメントが広がる可能性が大きくなってきました。

② 西友はこの度、対象商品を生産者が納得する価格で調達しており、またサステナビリティを追求する生産者に助成金を拠出する可能性も示しています。生産者のサステナビリティ追求の努力をマーケットサイドが価格面でも適正に評価し漁業者に還元する、サステナビリティを追求する生産者がそうでない生産者よりも優遇されるモデルが国内でも構築されれば、このムーブメントを一気に加速させる引き金となります。

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合同会社西友 企業コミュニケーション部VP 和間久美枝氏

「企業側も無理をしてしまうと持続可能な、というのは難しい。FIPプロジェクトであれば1つ1つ納得しながら漁業者、NGOと一緒に取り組むことができる。」

これまで国内のサステナブル・シーフード・マーケットは、MSC/ASC認証商品を日本で最も多く扱ってきたイオンの独壇場と言っても過言ではありませんでした。今回新たなプレイヤーによる新たな動きが台頭してきたことをシーフードレガシーは歓迎し、そのマーケット・イニシアチブが国内で一層活性化していくことを願い、その成長に引き続き貢献して参ります。

ご参加頂きました皆様、そして関係者の皆様、長い1日となりましたが、ご参加頂き誠にありがとうございました。

当シンポジウムのレポートや映像は、準備が出来次第、公開させていただきます。

プログラムや登壇者のプロフィールはこちらのサイトからご覧いただけます。

 

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