第4回ワークショップレポート:サステナブル調達で付加価値を高める欧州の企業事例

シーフードレガシーが主催する第4回目のワークショップ「サステナブル調達で付加価値を高める欧州の企業事例」が4月9日(火)に行われました。今回のワークショップでは、海洋管理協議会(MSC)日本事務所、水産養殖管理協議会(ASCジャパン)様には日本市場での最新情報、イケア・ジャパン株式会社様には家具だけに留まらず水産物に関してどのようにサステナブル調達を進めているのか、またスイスのチューリッヒに本社を置く水産商社Blueyou Trading様にはなぜサステナブル・シーフードをビジネスの根幹にしているのかをご紹介いただきました。今回は約50名の参加者にお越し頂き、会場は活気に満ちていました。(以下、敬称略)
海洋管理協議会(MSC)日本事務所
コマーシャル担当、仲山 真由 氏にご登壇いただきました。
2019年4月時点、世界では36ヶ国で364漁業がMSC認証を取得しており、さらに110漁業が審査中です。これは世界の天然物漁獲量の15%を占めています。CoC取得企業は世界で4,611企業、日本でもオリンピック、SDGsが引き金となり218企業が取得しています。また、国内の小売店、水産会社、企業の社員食堂などの動きの進捗報告をして頂きました。
水産養殖管理協議会(ASCジャパン)
ジェネラルマネージャー、山本 光治 氏にご登壇いただきました。
2019年3月時点、世界39ヶ国で848の養殖場がASC認証を取得しており、アジアでは363、そのうち日本は60養殖場を占めています。ASCが基準を定めている魚種に関しては世界で生産されているうちの5%がASCを取得しています。現在、既存のサケ、エビ、淡水マス、パンガシウスの基準を改訂しており、ヒラメ、熱帯魚類を新たに策定しています。日本では2019年1月に株式会社ユーグレナが世界初のASC-MSC海藻認証を取得しています。また新たな4養殖場にて審査が実施中です。最後に認証の普及に向けてサポートできることをハイライトして頂きました。
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イケア・ジャパン株式会社
ビジネスディベロップメントリーダー、宮村 惇志 氏にご登壇いただきました。
イケアは、創業者イングヴァル・カンプラード氏の「資源のムダ遣いは、人類最大の病である。資源の取り扱いにイケア・ウェイ(IKEA Way)を取り入れれば、小さな努力の積み重ねが大きな結果に繋がる」の信念のもと、家具だけでなく全ての商品をまた、全従業員が同じビジョンを「IKEA value」として共有しています。People & Planet positive(人と地球に対してポジティブなことをしていこう)に取り組んでおり、気候変動への対策、人口増加、持続可能でない消費、バリューチェーンの中で働いている人に対する平等性などに対してペットボトルを使わない、ベジホットドッグの販売、カカオの適正価格での購入・販売、魚ではMSC/ASC認証商品の取り扱いなどを通して取り組んでいます。
何をすれば良いかわからないが、何かをやってみたい人が多いという調査を元に、イケアでは簡単に取り組めるものから始めているとのこと。魚以外にも、扱う物すべてに繋がる考え方や会社としての方針をハイライトして頂きました。
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Blueyou Trading
スイスに拠点を置く水産物専門商社のBleuyouの共同設立者、Matthias Krebs 氏に登壇いただきました。
Blueyouは、グループ会社のBlueyou Consulingが世界各地の漁業/養殖業をMSCやASC基準まで引き上げる専門的なサポートを提供、認証取得、または同等レベルまで達した水産物を、Blueyou Tradingが世界各地の小売、給食業者、ホテルに販売しています。
Krebs氏は世界の水産資源の現状、漁業や養殖業が環境に与える影響、サプライチェーン上の違法労働など、グローバルでの課題を指摘した後に、「適切な管理をすれば資源は回復し、将来の世界食料需要に対して大きく貢献できる。その為には本日も参加されているマーケットプレイヤーの役割は非常に大きい」と強調し、最初のステップとして以下を奨励しました。
- 正しい魚種の表記とトレーサビリティの確立
- 違法、不透明な製品の調達の中止
- 絶滅危惧または危急種の調達の中止
- 資源管理を行なっている漁業や養殖業から調達する
- 改善に取り組む漁業や養殖業を支援する
その後は日本でのサステナブル・シーフードの調達の加速に繋がれば、と自社で提供できる魚種を紹介しました。
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