Boston Seafood Expoレポート

3月19日から21日まで行われた北米最大のシーフードイベント、「ボストンシーフードエキスポ」にシーフードレガシーからCEOの花岡とアメリカ在住のスタッフ松井が参加してきました。
今回はシーフードエキスポの様子をお伝えいたします!
今年で開催37回目を迎えるシーフードエキスポには世界各地から生産者、卸売、加工業者、貿易会社など、合計1327社がブースを構え、商品や技術の紹介、商談があちらこちらで行われました。
そして会場では1日を通して複数のセミナーが行われ、世界の水産業のトレンドや課題について学べる、イベント盛りだくさんの3日間でした。
シーフードレガシーは前日入りし、Conservation Alliance for Seafood Solutions/コンサベーション・アライアンス・フォー・シーフード・ソルーション(以下アライアンス)のレセプションに参加。本アライアンスは持続可能な水産業の実現に取り組む北米を中心とした世界中の団体で20年前に発足しました。この度、世界のサステナブルシーフード界を牽引してきたこのアライアンスに正式なメンバーとして名前を連ねる運びとなりました。これにより、海外との連携がより強化されることはもちろん、日本のマーケットの取り組みを世界規模で評価、サポートする基盤づくりがまた一歩前進しました。こうした会場にはアライアンスメンバーのパートナー企業や小売業者も招かれ、共に持続可能な水産業を実現を目指すパートナーとしてその活動が紹介、評価されます。同じ目標を持ち活動する仲間が増えたこと、そして着実に広がりを見せるサステナブルシーフード業界の進歩を肌で感じることができ、モチベーションが上がりました!
今回のシーフードエキスポはあくまでも企業間の商談がメイン。「サステナブル」である必要もありません。しかし会場に一歩足を踏み入れると、多くのブースでMSC/ASC認証、BAP認証、GAP認証、パートナーNGOなどのロゴを掲げ、自社の持続可能な水産業へ向けての取り組みを全面に出している会社ばかり。国を上げて認証取得普及に取り組むアイスランドなどは自国の水産物をサステナブルであることを全面にアピールし、ブランディングをしていました。
普段このように認証マークを目にする機会の少ない日本企業の方も、このような場所に来ると、持続可能性の重要性を実感する、とおっしゃっていました。
北米を中心とした水産業界のトレンドや課題が取り上げられるセミナーでも、やはりホットトピックは持続可能性。中でも驚いたのは、小売を中心としたサプラーチェーン上の企業がトレーサビリティーの強化に積極的である北米では、多くのIT企業がシステム開発を行った結果、様々なトレーサビリティーシステムが市場に出回り「トレーサビリティー飽和状態」にあるということです。トレーサビリティーのデジタル化をしたいが、どのシステムが自社に合うのか分からない、新しいテクノロジーが次から次に出るが、果たしてシステムの導入を今すべきなのか、といった質問がサプライチェーン上の企業からは上がっていました。システム開発側もNGOと連携を取りながら開発を行っており、どのシステムも目的はIUU漁業由来の水産物をサプライチェーン上から排除し、消費者に安心を与えること。東南アジアの政府と協力し漁船の追跡を中心としたトレーサビリティーシステムを展開するOcean Mindの代表、Brad Soule氏は「政府がトレーサビリティーに関する統一基準を発表するのを待っていても何も起こらないし、問題解決にはならない。自社のニーズを見極めるのが大事。」と発言。サプライチェーンが中心となってトレーサビリティーを確立し、IUU漁業問題に積極に取り組んでいくことの重要性を強調しました。
今回のセミナーには日本からもスペシャルゲストが。Fishery Improvement Project (FIP/漁業改善計画)についてのセッションでは昨年末に発表された「海光物産×SEIYU×Ocean Outcomes」で発足した日本初のFIP、「東京湾スズキ漁FIP」の取り組みが発表されました。海光物産の大野さんが紹介されると会場からは拍手が。日本でのイニシアチブもしっかり世界に発信され、評価されています!
外に残る雪を溶かすようなエキスポの熱気、サステナブルシーフードの一般市場への広がりは私たちの想像をはるかに超えるものでした。
ボストンはシーフードの街。エキスポ後は日本から参加したオーシャンアウトカムズのチームと合流し、アメリカで一番古いと言われるレストランでモリモリのロブスターを堪能しました。ボストンも汚染で地元の水産業が大きな被害を受けた過去があります。限られた資源をどう有効利用し、次世代に繋げるか…水産業が直面する課題は世界共通です。
シーフードレガシーでは引き続き国内のイニシアチブをサポートし、持続可能な漁業実現に向けた取り組みが広まるよう、マーケットを応援していきます!

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