海外大手企業も次々参入!数字で見るサステナブルシーフード!

海外大手企業も次々参入!数字で見るサステナブルシーフード!

 

日本の水産業界の衰退が懸念される中、世界の食品業界ではサステナブルシーフードの急成長が注目を浴びています。2015年には世界全体での売上を115億USドルにまで伸ばし、市場拡大を続けています。2005年には世界の水産業の0.5%にしか満たなかったサステナブルシーフードですが、たった10年で水産業の全体の14%を占めるまでに成長しています。この背景には、大手スーパー、ファストフード店の参入があります。今回は11日開催の「魚から考える日本の挑戦2016~Tokyo Sustainable Seafood Symposium~」を前にサステナブルシーフード市場の拡大と、世界の大手小売企業のサステナブルシーフードに対する意思表示をご紹介します。

 

11月11日(金)10:00開始!事前登録がまだの方はこちらから!

 

成長産業!サステナブルシーフード業界を数字で見る!

2014年、世界の水産物の貿易額は1400億USドルに達しました。世界的に見ても水産業界は成長産業で、年々漁獲高、貿易額を伸ばしています。その中でも急成長を遂げているのがサステナブルシーフードの分野です。2015年には世界全体での売上を115億USドルに伸ばし、世界の水産業界の14%を占めるまでに急成長しています。2003年から2015年の12年間を平均してのサステナブルシーフード(天然と養殖の合算)の年間成長率は35%と、水産業界全体より10倍も早いスピードでシェアを伸ばしているので驚きです。世界的にも広く認められているエコラベルであるMSC認証も、2014年から2015年の1年間で6%も漁獲を増やし、MSC商品の取り扱い認証を受けた小売やレストランは16%も増加しました。

しかし、全世界の80%の水産物は新興国で漁獲されていると言われる一方で、それらの国で漁獲されるサステナブルシーフードは全世界の11%と少なくなっています。現在、サステナブルシーフードの普及の進むアメリカやEU諸国を中心に、こうした新興国の漁業をサポートするFIP(漁業改善計画)が進んでおり、水産物の安定した供給の確保を企業自ら行うケースが多く見られるようになってきています。このようなFIP事業は持続的な利益を生む仕組みとして、世界の投資家からの注目も浴びています。世界の水産業界を支える新興国でのサステナブルシーフードが増えることで今後市場は更なる成長が見込まれます。

世界の大手スーパーの動向は!?

乱獲、IUU漁業、奴隷問題など複雑な問題を抱える水産業界。世界の大手スーパーはすでにトレーサビリティの確立やサステナブル調達に乗り出しています。こうした行動は企業のCSRにも繋がり、消費者からのイメージアップや企業の差別化にも繋がっているようです。

下記ではアメリカ、イギリスの大手小売企業のサステナブルシーフードに対する取り組みと意思表示を年間売上のランキング式でお伝えします!

アメリカ:
(リテール業界の国内売上を参照)

会社名 売上
ランキング
2014年売上
基準/ラベリング 環境/社会問題 その他
Wal-Mart Stores 1 $ 3436億2400万

(35兆5207億円)

90%の水産品がMSC・BAP認証、もしくはFIP由来のもの。(2015年末) 自社の基金を通して、アジアを中心とする奴隷問題に取組むプロジェクトをサポート。 一般に流通するナショナル分ランドのツナ缶よりも環境に配慮した自社ブランドのツナ缶を販売。
The Kroger Co. 2 $ 1030億3300万

(10兆6506億円)

83%の水産品がMSC認証、FIP由来。(2015年末) WWFとの共同で2015年には19のFIPに参加。 2020年までにすべての水産品をMSC・BAP認定、もしくはFIP由来に移行すると発表。
Costco 3 $ 796億9400万

(8兆2380億円)

持続可能でない種を排除し、MSC認定などの外部基準を参考にし、より環境に責任を持つサプライヤーに切り替え。 WWFとの合同プロジェクトでFIPに参加。サケやエビの養殖にも積極的に資金援助を行う。 一般に流通するナショナル分ランドのツナ缶よりも環境に配慮した自社ブランドのツナ缶を販売。
Target 6 $ 726億1800万

(7兆5065億円)

Seafood Watchの緑・黄に属する水産品を採用。MSC・ASC認証も積極的に採用。 Fishwiseと提携することで、サプライチェーンのトレーサビリティの強化に成功。 自社の掲げる100%サステナブル・トレーサブルの目標を97%達成と発表。(2015年末)
Safeway 10 $ 363億3000万

(3兆7554億円)

Seafood Watchの緑・黄に属する水産品を採用。MSC・ASC認証も積極的に採用。 2009年からFishwiseと提携し、環境問題や奴隷、IUU問題に取組み、政府にも積極的な呼びかけを行う。業界初のフェアトレード・シーフードの導入。インドネシアなどでFIPを行う。 自社の掲げる100%サステナブル調達の目標を74%達成と発表。(2014年末)
Whole Foods Market 30 $ 136億4200万

(1兆4095億円)

Seafood Watchの緑・黄に属する水産品を採用。MSC認証も積極的に採用し、業界をリードしている。 サステナブルシーフード界をリードし続ける企業。MSC認定の振興と発展にも大きく貢献している。 店頭での分かりやすい表示は顧客から大きな支持を得ている。自社ブランドのツナ缶は業界内でもトップのサステナビリティを誇る。

 

イギリス:
(リテール業界の国内売上を参照)

会社名 売上
ランキング
2015年売上 基準/ラベリング 環境/社会問題 その他
Tesco 1 £ 544億3300万

(6兆9179億円)

MSC認証を採用。SSCの基準を満たした天然・養殖物を中心に扱う。2016年4月にはMSC認証の水産品の取扱の拡大を発表。 SSCのメンバーとして業界が一体となってのサステナブル・トレーサブル調達、IUU、奴隷問題の解決に取組む。 自社ブランドのマグロはすべて一本釣りでの漁獲。イギリスでは80%の水産品が6種の魚から構成されていることに危機感を持ち、旬の魚を導入するなどの工夫を行う。
Sainsbury’s 2 £ 235億600万

(2兆9874億円)

MSC認証を採用。MSC認定商品の取扱数は英国一。SSCの基準を満たした天然・養殖物を中心に扱う。 SSCのメンバーとして業界が一体となってのサステナブル・トレーサブル調達、IUU、奴隷問題の解決に取組む。 2020年までに自社ブランドの水産品はすべてMSC認証を受けると発表。
ASADA
(Walmartの子会社)
3 £ 233億2500万

(2兆9644億円)

90%の水産品がMSC・BAP認証、もしくはFIP由来のもの。(2015年末) SFPと提携し、自社のサプライチェーンの見直し、トレーサビリティの強化を行うと発表。 自社ブランドのツナ缶およびマグロはすべて1本釣りで漁獲されたもの、とナショナルブランドよりも環境に配慮したものになっている。
Morrisons 4 £ 161億2200万

(2兆489億円)

MSC認証を取り入れる他、SSCの基準を満たした天然・養殖物を中心に扱う。 SSCのメンバーとして業界が一体となってのサステナブル・トレーサブル調達、IUU、奴隷問題の解決に取組む。SFPと提携し、自社のサプライチェーンの見直し、トレーサビリティの強化を行うと発表。 マグロに関しては一本釣りで漁獲されたもののみを販売。自社の基金を通してFIPや漁業全体に貢献するプロジェクトに参加。
Marks & Spencer 6 £ 105億5540万

(1兆3415億円)

MSC・ASC認証を取り入れる他、WWFの基準に従い、漁法などを加味した更に細かいランク付けを行う。 WWFとの合同でFIP事業に取組む。SSCのメンバーとして業界が一体となってのサステナブル・トレーサブル調達、IUU、奴隷問題の解決に取組む。 サステナビリティを掲げる自社ブランドのPlan Aに86%の水産品が該当する。
ALDI 10 £ 68億9400万

(8761億円)

MSC認証を取り入れる他、第3者機関(主にNGO)のラベリングを使用。FAO漁獲統計海区、漁法など豊富な情報を提供。 SFPとの提携で毎年レビューを行い、IUU由来の水産物の除去に成功。養殖に関しても環境に配慮したものや道徳的マナーを重視。 アジアでのFIPに積極的に参加する他、豊富な情報提供と細かい仕入れのスタンダードを設けることで業界をリードしている。

MSC:Marine Stewardship Council/海洋管理協議会
ASC:Aquaculture Stewardship Council
BAP:Best Aquaculture Practices
SSC:Sustainable Seafood Coalition(イギリスの小売企業やNGOを中心とした連合)
SFP:Sustainable Fisheries Partnership(イギリスNGO、企業のサプライチェーンの見直しやFIPを行う)
FAO:Food and Agriculture Organization/国際連合食糧農業機関

このように海外では既に多くの企業が水産品のサステナブル調達、また持続可能な水産業をサポートするためにFIP事業やIUU漁業、奴隷問題に積極的な姿勢を示しています。日本でもイオンがMSC・ASC認証の水産品の取扱を増やしたり、宮城県にて日本3つ目のMSC認証が認められるなど、少しづつですが、サステナブルシーフードの普及は進んでいます。来る11月11日の「魚から考える日本の挑戦2016~Tokyo Sustainable Seafood Symposium~」ではこうした海外企業のバイヤーもお招きしています。

日本でも、いや、どこよりも海と密接に関わり育ってきた日本だからこそ、サステナブル・シーフード・マーケット・イニシアチブを!

「魚から考える日本の挑戦2016~Tokyo Sustainable Seafood Symposium~」2016年11月11日、東京・汐留にて、10:00からスタートです。ぜひご参加下さいませ。

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