昨年12月に世界の水産業界をリードする大手8社が持続可能な水産業実現へ向けてのグローバルイニシアチブを立ち上げました。今回は科学者と企業のリーダー達による初めてのコラボレーション「キーストーン・ダイアローグ」を経て発行された宣言文「海洋管理のための水産事業」(Seafood Business for Ocean Stewartship)についてお伝えいたします。
あるデータでは、たった十数社の大手水産企業が世界の40%の漁獲に関与していると言われています。そしてその大手企業に関連する水産物の量は一国の漁獲高を超えることもあるというので驚きです。水産業界においてこれら大手企業の影響力は大きく、こうした大企業を巻き込んだイニシアチブを立ち上げることは持続可能性実現に向けての大きな課題の1つでした。
今回、スウェーデンのストックホルム・レジリエンス・センターの呼びかけにより集まったのは世界最大手と言われる水産企業8社。そこには日本からマルハニチロ、ニッスイが名前を連ねています。
これまでも積極的なNGOの呼びかけなどにより水産企業や小売企業を中心としたニシアチブや宣言文章は数多く発行されています。しかし、その多くは「種」や「地域」にターゲットを絞ったものが多く、今回発表された「海洋管理のための水産事業」のように包括的に世界の海洋資源を保全しよう、という取り組みにはあまり目立ったものがありませんでした。世界最大手の企業が集まり、世界の海洋資源を守るためのイニシアチブを発表したことは、水産資源の持続可能性においてとても大きな意味をもちます。
今回のイニシアチブ立ち上げは、大手企業のリードにより水産業界を動かすことはもちろん、業界が自主的に活動することで政府やその他利害関係者を巻き込んでのポジティブな変化を起こすことを目標としています。イニシアチブ立ち上げにおいて、多数の科学者と企業リーダー間で現状の問題や課題についての話し合いが行われ、参加8社は下記10項目について取り組むことを宣言しました。
上記10項目の取り組みは、国連で採択されたSustainable Development Goals(SDGs/持続可能な開発目標)の14番(海洋の持続可能な利用)の実現も視野に入れた取り組みでもあり、多くの企業に道筋を示すガイドラインの役割も果たしています。
今回この宣言文にサインしたこ8社はサステナブルシーフード業界の新しいリーダーとして、世界の水産業を牽引していく役割を担っています。ここに日本の水産大手であるマルハニチロ、ニッスイが名前を連ねていることはサステナブルシーフードの普及が遅れる日本の水産業界においても大きな意味を持ちます。
持続不可能な地球環境では、水産業界の繁栄はありえず、持続不可能な水産業界では豊かな地球環境を育むことができません。今こそ、先を見越して海洋管理(オーシャンスチュワードシップ)を積極的に進めるリーダーとして 共に行動する時です。
宣言文より一部抜粋
グローバルリーダー達による新しいイニシアチブの今後、そして日本の水産業界へのポジティブな影響に期待が高まります!
<本件詳細についてはこちらから>
「海洋管理のための水産事業」(Seafood Business for Ocean Stewartship)宣言文
日本語 英語(本文)
「キーストーン・ダイアローグ」 http://keystonedialogues.earth/